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gallery IHA online lecture 01 「ことばと建築」第3回南後由和『トランス・メディアとしてのニューバビロン』を開催しました

2020年6月22日に、gallery IHA online lecture 01 「ことばと建築」第3回南後由和『トランス・メディアとしてのニューバビロン』を開催しました。

前回のご登壇から3年、ひさしぶりに南後由和さんにご登壇いただきました。南後さんは2年間サバティカルで、デルフト工科大学、コロンビア大学、Bartlettで研究生活を送り、昨年帰国されたところでした。コンスタントは、シチュアシオニストとされていますが、南後さんはドヴォールらとの関係よりは、一人の作家としてのコンスタント、特に作品群「ニューバビロン」に焦点を絞った研究を進めていらっしゃるそうです。

コンスタントは絵画、模型、壁画、詩、音楽など幅広い領域にまたがって活躍した作家。「ニューバビロン」は、建築的な構造を持つ模型や地図と組み合わせた絵画としても表現されているため、建築のプロジェクトとみられることが多いが、それだけは物足りないと、南後さんは言います。そこで「トランスメディアとしてのニューバビロン」という概念をたてた、ということでした。

レクチャーメモです。

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ニューバビロン(1956−74)は、18年に及ぶアンビルドプロジェクト。

遊び、迷宮、ノマディズムなどを孕む、常に変容し続ける構造。労働、私有、家族、国家などの概念が消失した社会観を特色とする。オートメーションなど新しい技術、住民が自ら構造を変えていくボトムアップ的な全体像。そこでは人は創造的行為に従事することができる。集団芸術的な要素を持つ。

「トランスメディア」あるメディウムが共通の基盤をなし、複数のメディウムの境界を越境および逸脱しながら形作られるメディウムの集合体。「ニューバビロン」は絵画か共通の基盤をなし、彫刻、ドローイング、模型、地図、テキストなど、それぞれの境界を越境し逸脱しながら形作られるメディウムの集合体であり、芸術家と鑑賞者、建築家とユーザー、作り手と使い手などの関係性を変容させるもの。

前期ニューバビロン:ジプシー的な生活様式やノマディズムがみられる。空中都市、メガストラクチャーの可能性への期待も見られ、ユートピア的。ピータークックら次世代建築家へも影響を与えた。

中期ニューバビロン:模型の巨大化、地図の製作、既存の都市地図にスーパーインポーズするといった手法が見られる。集団的創造性、国家、国境が消失した、コスモポリタニズムにつながる関心がみられる。

後期ニューバビロン:絵画への回帰。冷戦構造の誕生、1968年5月革命、ベトナム戦争などをへて、ディストピアのイメージが出てくる。技術の負の側面も描かれるようになる。前期のユートピア的なニューバビロンへの自己批判という側面があったのではないか。

ニューバビロンに通底する目的は「アトモスフィア」の構築

コンスタントのダイアグラムによると、「アトモスフィア」を生み出す条件は建築学的、気候学的、心理学的なもので、その次に人々の五感がくる。「アトモスフィア」は、空間とは違って身体が介在し、体験が入る。可視化され固定されると壊れてしまうので、コンスタントは長年にわたって作り続けていたのではないか。

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