top of page

2016年秋連続レクチャー

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』 

PRODUCE:長谷川逸子 CURATION:北山恒

◉全回予約制

Download
A4 両面
講師経歴付き

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』
第1回 槇文彦×北山恒「漂うモダニズムと私」(9月24日)

 

 第1回のレクチャーが終わりました。槇さんのプレゼンテーションは、CIAM、丹下健三から始まって、アメリカ時代、ヒルサイドテラス、「平和な時代の野武士たち」のエピソードを挟んで、ポストモダニズムの隆盛、WTCまでを辿るものでした。(一部の)ポストモダニズム建築は結局人間のための空間を作るものではなかったのではないかというチクリもあり、新自由主義が席巻する世界で、軍隊的な巨大組織がますます社会への支配力を強める一方で、いわゆるアトリエ派建築家の社会的発言力が低下していくことに対する危機感を孕んだ若い世代へのメッセージもありました。70年代世代が野武士なら今の若い世代は民兵ですね、と。印象深かったのは、ヒルサイドテラスでゆっくりと午後を楽しむ一人の男性のエピソードでした。孤独を楽しむ時間と空間を提供できることもまた、多くの人が集う公共の場の条件だという槇さんの静かな語り口は、「つながり」や「縁」が大きく前面に出てきた3.11後の「みんなの建築」に欠けている要素であるように思いました。若い世代からの質疑と応答も1時間近くに及び、盛況のうちに第1回のレクチャーが終わりました。雨の中お集まりいただいた皆様、ありがとうございました。

10月4日まで、1階ロビーで『The Metabolizing City』のビデオ上映(北山恒、第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示”TOKYO METABOLIZING”のために制作、映像制作:wow inc.)、1階レクチャールームと2階展示室で槇文彦+槇総合計画事務所の作品展を開催しております。ぜひお運びください。

「平和な時代の野武士たち」『記憶の形象』(1992)筑摩書房収録
https://www.amazon.co.jp/%E8.../dp/4480860355/ref=sr_1_6...
「回想としての『平和な時代の野武士たち』」『漂うモダニズム』(2013)左右社収録
https://www.amazon.co.jp/%E6.../dp/4903500861/ref=sr_1_4...

9月24日-10月4日まで槇文彦+槇総合計画事務所作品展、および『The Metabolizing City』開催中です。ぜひお運びください。

1階ロビー:『The Metabolizing City』ビデオ上映

       北山恒、第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示”TOKYO  

      METABOLIZING”のために制作、映像制作:wow inc.


1階・2階展示室:槇文彦+槇総合計画事務所作品展。
    1階はWTC
    2階は「西方への旅」、アガカーン美術館など
(日・月・祝日休館)

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』

第2回 伊東豊雄×大西麻貴「愛される建築をめざして」(10月6日)


伊東豊雄さんからはオープンしたばかりの「台中国家歌劇院」について、発想から実現に至るまでの9年間のプロセスの説明があり、台中の仕事をしている間ずっと、中野本町の家のことを思い出していましたと、多木浩二さんとの関係など1970年代を振り返るお話がありました。大西さんからは「現代においてガウディのサグラダファミリアのような(時空を超えてみんなに愛される)建築は可能でしょうか」という問いかけから始まる「伊東さんへの9つの質問」がありました。大西さんの質問の一つ一つに伊東さんが率直に答えていき、ゲストクリティークである南後さん、会場の皆さんからの質疑も続き、予定時間を超えて20時半に終了しました。平日でもあるにかかわらず、多くの方にお運びいただきありがとうございました。

10月6日(木)-10月19日(水)まで、伊東豊雄「台中国家歌劇院」展、および大西麻貴+百田有希 / o+h「Good Job! センター」展開催中です。ぜひお運びください。14日(金)は20時まで開館します。(日・月・祝日休館)
1階展示室:「台中国家歌劇院」ビデオ3本(計36分)
2階展示室:「台中国家歌劇院」パネル
      「Good Jobセンター」模型、パネル、+ビデオ1本(3分)

Good Job!センターを運営するタンポポの家のリンクです
http://tanpoponoye.org/news/general/2016/08/47371336/

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』

第3回 六角鬼丈×宮崎晃吉「日本"建築"辺境論」(10月22日)

 

​お知らせ:

いよいよ明日は第3回、六角鬼丈さんと宮崎晃吉さんが登壇されます。1970年代の冒険者のうち、伊東さん、坂本さん、長谷川さんはしばしば「篠原スクール(別名多木スクール)」と呼ばれていましたが、70年代をリードした巨人、磯崎新さんも多くの建築家に影響を与えて来ました。その中には「婆娑羅」と名乗る集まりもあり、石山修武さんや毛綱毅曠さん、六角鬼丈さんたちがいました。磯崎さんはやがて歴史主義と呼ばれるポストモダニズム運動にのめり込んで行きますが、六角さんは「風の建築」「八卦の家」はじめ、自然そして東洋的なモチーフを現代建築の中に取り入れ、独自の建築世界を築き上げて来られました。明日は、「最小文化複合施設 HAGISO」を運営し、独自の建築活動を展開する宮崎さんとのコラボレーションによるレクチャーをしていただきます。お誘い合わせの上、ぜひお運びください。

レポート:

六角鬼丈さんのプレゼンは、デビュー作のクレバスの家、八卦ハウス、樹根混住器といった初期代表作の着想から設計プロセス、完成前後の施主との関係についてのユーモア溢れる説明から始まり、公共建築や街のなかでのインスタレーション的なアート活動に伴う困難を切り開いていく建築家の役割や構想力について、そして芸大六角研究室で実施した上野タウンアートについての紹介がありました。上野タウンアートは、建築家が積極的にまちに仕掛けていく宮崎さんの現在の活動のきっかけともなったプロジェクトだったそうです。「みんなの建築」とは一見厳しく対立するかのように見える70年代の六角さんの造形的な住宅作品が実は深い地下水脈で現在につながっていること、この世代の建築家に共通する自然やアジアへのまなざしもまたこれからの建築につながっていくのではないかと考えさせられた夜でした。多くの方々にお運びいただきました。ありがとうございました。

【ハギスタジオがやってきた!ヤアヤアヤア】

明日からの展覧会のために、HAGI STUDIOがgallery IHA にやってきました。
宮崎さんとスタッフ4名。うち2名はきなこちゃんとシロップちゃん。これから11月1日までgallery IHA の2階を拠点に、HAGI STUDIOの皆さんが活動されます。gallery IHAとしても初めての生体展示?の試みとなります。素顔のHAGI STUDIOに会いに来てください。

写真は上段2回展示風景、下段左から六角先生(リアル六角先生が現れる日があるかもしれません)、1/20住宅模型(HAGI STUDIO)、きなこちゃん「皆様とお会いできるのを楽しみにしてます。チチッ。」

http://studio.hagiso.jp
http://hagiso.jp

1階では六角さんが設計された東京武道館の設計と現場のビデオ(15分弱)を上映しております。ぜひお運びください。

HAGI STUDIOの方にご許可いただき、今回の展示作品7つのうちの1つを紹介します。HAGISO第3弾、谷中のリフォームプロジェクト。2階はオーナーさんの住居とオフィスですが、1階をまちの人たちが集まることのできるお惣菜カフェとして開くのだそうです。観光地化が進む谷中には、逆にまちの人たちが自然体で買い物したり集まることのできる場所が減っていっているのだとか。だからこのプロジェクトはおそらく雑誌発表も広告もされることがなさそうです。HAGISOの活動が地域に浸透して来ていることがよくわかるプロジェクトだと思いました。

写真は1/20模型の部分。今回の展示期間中はHAGI STUDIOの皆さんが展示場にいますので、ぜひお運びいただき、直接お話を聞いてください。

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』第4回 坂本一成×能作文徳「建築のエシックス」

 11月4日に坂本一成さんと能作文徳さんのレクチャーが開かれました。坂本さんからは、作家としてのスタートをきった1970年前後の背景を伝統論争から篠原一男さん、そして磯崎新さん、多木浩二さんたちの存在がどのようなものであったかというガイダンスがあり、そのあと住宅を中心に70年代の代表作から近作までご紹介がありました。能作さんからは、高岡のゲストハウスをはじめとした自作のご紹介、そして坂本先生へのいくつかの問いかけがありました。「僕たちの頃は、個であるということ、自由であるということがすごく嬉しかった」「(能作さんたち世代は)物語を作っているように見える」という坂本さんの言葉には、新しい時代局面に向き合う若い世代へのエールとともに、1人の建築家として建築そのものと向き合いなさいというメッセージもふくまれているように聞こえました。
槇文彦さんからはじまった「1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子」レクチャーシリーズも残すところあと1回となりました。1970年代を生み出した時代背景と先行世代、そして70年代の「野武士」世代の登場、その80年代から90年代の建築的成果、そして、今ちょうど「野武士たち」が70年代を生きた年齢を生きる新しい世代の様々な試行。最終回11月19日(土)は、長谷川逸子と大熊克和さんが登壇します。どうぞ奮ってご来場ください。

11月4日(金)-11月16日(水)まで、坂本一成展、および能作文徳「高岡のゲストハウス」展開催中です。ぜひお運びください。

1階展示室:「高岡のゲストハウス」ビデオ1本(約5分)
2階展示室:「宮島口地区旅客ターミナル」模型、パネル、ビデオ
      「上海当代芸術博物館図書室」パネル、ビデオ
      その他、常州工学院国際学術交流センター、
      佐賀県歯科医師会館と近作揃いです。
      
(日・月・祝日休館)

『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』第5回 長谷川逸子×大熊克和「第2の自然としての建築とアジアの建築」

 11月19日にこのレクチャーシリーズを締めくくる長谷川逸子と大熊克和さんのレクチャーが開かれました。長谷川からは、学生時代に出会った菊竹清訓「スカイハウス」が菊竹氏の生家にあることを知って以来民家に魅せられてきたこと、「白の家」を雑誌で見たことをきっかけに菊竹事務所を辞して篠原一男研究室に入ったこと、篠原研究室在籍中も日本中の民家を見歩いて「がらんどう」の空間に出会ったこと、多木浩二さんとの出会い、菊竹さんと篠原さんのバーでの初めてのディスカッションなど、1970年当時の雰囲気を生き生きと描く話がありました。篠原研究室で住宅を設計し始めたころできるだけ「長い距離」「がらんどう」をつくることから始まって、アルミパンチングメタルを用いた桑原の住宅で新しい爽やかな空間を実現できたこと、湘南台文化センターで市民との対話から「第2の自然という言葉が生まれたこと、などの話がありました。大熊さんからは、長谷川事務所時代に中国の仕事に関わった経験、独立後手がけてきたアジア特にミャンマーでのプロジェクト提案型の仕事の紹介がありました。​

11月19日(土)-11月30日(水)まで、長谷川逸子+大熊克和展開催中です。

2階展示室:長谷川逸子+大熊克和展

(日・月・祝日休館)

*現在、『1970年代の建築的冒険者と現代の遺伝子』レクチャーシリーズの書籍化が進んでいます。2017年夏、彰国社から販売予定です。

bottom of page