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●秋レクチャーシリーズ『これからの建築を考える』を公開しました

(August 10, 2017 | KU

秋レクチャーシリーズ① 藤原徹平さんキュレーション『これからの建築を考える』を公開しました。IVENTページから予約できます。

2017年9月16日(土) 木村松本 「構えと建築」

2017年9月23日(土) 藤原徹平 「神殿か住居か」

2017年10月7日(土) 佐藤 淳「木漏れ日の数学とファジーノード」

2017年10月14日(土) o+h(大西麻貴+百田有希) 「まちの経験とつながる建築」

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●秋レクチャーシリーズ①『これからの建築を考える』、CPDプログラムの認定を申請しました

(August 21, 2017 | KU

秋レクチャーシリーズ①『これからの建築を考える』のCPDプログラム認定を申請しました。

まだ審査前ですが、CPD単位ご希望の方は、予約申し込みフォームにCPDID記入欄を設けましたので、ご記入ください。

第1回「構えと建築」講師 木村吉成氏・松本尚子氏

第2回「神殿か住居か」講師 藤原徹平氏

第3回「木漏れ日の数学とファジーノード」講師 佐藤淳氏

第4回「まちの経験とつながる建築」講師 大西麻貴氏・百田有希氏(o+h)

●秋レクチャーシリーズ①『これからの建築を考える』全回、CPD単位認定プログラムとなりました。

(September 4, 2017 | KU

藤原徹平さんがキュレーションしてくださっている秋レクチャーシリーズ①『これからの建築を考える』全回、JIAのCPD認定プログラムとなりました。
どうぞ奮ってご参加ください。

●秋レクチャーシリーズ①『これからの建築を考える』ゲストコメンテーターが決まりました。

(September 7, 2017 | KU

いよいよ第1回木村松本「構えと建築」まで10日となりました。準備も着々と進んでいます。さて、「建築とアートの道場」のゲストコメンテーターが決まりましたので、お知らせいたします。畝森泰行さん、中川エリカさん、増田信吾さん。どの回に誰が登場するかは当日のサプライズ。複数のコメンテーターが登場する日もありそうで、当日は会場で楽しい議論になりそうです。どうぞ奮ってご参加ください。

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●いよいよ始まります

(September 15, 2017 | KU

いよいよ明日、16日土曜日から、藤原徹平さんのキュレーションによる秋レクチャーシリーズ「これからの建築を考える」が始まります。
16日は18時から京都の気鋭の建築家、木村松本のお二人によるレクチャー「構えと建築」です。ぜひお運びください。また、展示も16時からオープンしていますので、お時間のある方はぜひ少し早めにいらして展示もご見学ください。

今回のレクチャーシリーズは、会期中それぞれの講師の皆さんの模型がだんだん増えていくスタイルとか。実は昨日からフジワラボの皆さんが設営にいらしています。不思議な形をしたこの物体が
、展示でどんな表情になるのか楽しみです。設営中の皆さんに手を止めていただき、一枚撮らせていただきました。

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●秋レクチャーシリーズ①第1回(9月16日)懇親会のお知らせ

(September 15, 2017 | KU

明日から始まる秋レクチャーシリーズ①「これからの建築を考える」第1回木村松本「構えと建築」レクチャー終了後に、「誰でも参加できるワンコイン懇親会」をギャラリー内で開催します。簡単なお飲物とおつまみなど用意しておりますので、レクチャーご参加の皆さま、ぜひ懇親会にもご参加ください。

また、明日はいよいよ秋レクチャーリシーズ②のお知らせを会場でお配りします。どうぞこちらもお楽しみに。

●秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』を公開しました。

(September 19, 2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』を公開しました。INENT-2ページから予約ができます。
今回は、金野千恵さんをキュレーターに迎え、地域の共有資源を発掘し繋ぎ組み合わせ、建築を媒体として具現化する活動に取り組んでいる方々を講師に迎え、4回のレクチャーシリーズを実施します。
福岡の‎NPO八女空き家再生スイッチで活躍されている中島宏典さん(第1回、10月28日)、モクチン企画の連勇太郎さん(第2回、11月11日)、「恋する豚研究所」代表の飯田大輔さん(第3回、11月25日)、高知を拠点に「自伐型林業」を推進する中島健造さんと建築家の富永大毅さん(第4回、12月7日)によるレクチャーシリーズです。どうぞお楽しみに。

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●秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』新建築onlineで紹介していただきました

(September 28, 2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』新建築onlineで紹介していただきました。

http://www.japan-architect.co.jp/jp/information/2017-09-28-17-02.php

●秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』CPD認定プログラムとなりました

(September 28, 2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』も、全回CPD認定プログラムとなりました。どうぞ奮ってご参加ください。

●秋レクチャー①「これからの建築を考える」第1回、第2回のCPDプログラム出席者名簿を提出しました

(September 29, 2017 | KU

秋レクチャー①「これからの建築を考える」第1回、第2回のCPDプログラム出席者名簿を提出しました。

●秋レクチャーシリーズ①の予約を締め切りました。

(October 6,  2017 | KU

大変申し訳ありませんが、申し込み多数につき、秋レクチャーシリーズ①の予約を締め切りました。

参加をご希望の方は、当日直接いらしてください。会場内のお席にご案内できないかもしれませんが、できるかぎりロビー席を用意するなどの対応をいたします。

●秋レクチャシリーズ『これからの建築を考える』第3回のCPD単位申請者名簿を提出しました。

(October 12,  2017 | KU

秋レクチャシリーズ『これからの建築を考える』第3回佐藤淳さん「木洩れ日の数学とファジーノード」のCPD単位申請者名簿を提出しました。

●秋レクチャーシリーズ①第4回のCPD申請者名簿を提出しました。

(October 17,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ①第4回「まちの経験とつながる建築」のCPD申請者名簿を提出しました。

●『これからの建築を考える』展は25日まで開催しています。

(October 17,  2017 | KU

毎週のように入れ替わってきた展示ですが、いよいよ来週水曜日までの展示となりました。
1階には、「木漏れ日の数学とファジーノード」佐藤淳さんの展示、及び特別に貸しだしていただいた「京都市立芸術大学移転設計プロポーザル」の1席案模型(撮影禁止)が展示されています。レクチャーに参加仕損なった方もぜひお運びください。

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●21_21デザインサイトで「野生展」始まる。t e c o(金野千恵・アリソン理恵)会場構成

(October 20,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②のキュレーションをしていただいます、金野千恵さん・アリソン理恵さん(t e c o)が会場構成を手がけた「野生展」が始まったそうです。ぜひこちらもご覧ください。 http://www.2121designsight.jp/program/wild/ 

●中島宏典「森林と町並み(都市)の間、過去と未来の間」10月28日(土)開催します。

(October 24,  2017 | KU

いよいよ今週末28日(土)から、秋レクチャーシリーズ②が始まります。
トップバッターは、中島宏典さん。福岡市の近郊、八女市でまちづくりに取り組んでおられます。「NPO八女空き家再生スイッチ」の事務局長。伝統的建造物郡保存地区認定を活用しつつ、行政、大学、地域住民、伝統工芸職人やお茶屋さんなど幅広く参加する「みんなで作るまちづくり」が注目を集めています。人口減少、空き家対策などの問題にがっぷり四つで取り組んでおられます。
福岡から来ていただきます。良い機会ですので、ぜひお運びください。

 

 

*「NPO八女空き家再生スイッチ」ホームページ

http://yame-machiya.net/npo%E6%B3%95%E4%BA%BA-%E5%85%AB%E5%A5%B3%E6%96%87%E5%8C%96%E6%8C%AF%E8%88%88%E6%A9%9F%E6%A7%8B.html

 

*「NPO八女空き家再生スイッチ」FACEBOOKページです。

https://www.facebook.com/yameakiyaswitch/?hc_ref=ARSjTQCqR0qbpsWonfgrumqFZ19SmPEOo3y3Voflz32yfMpWFIvNCLcOrw0RqiZ4ijY

●秋レクチャーシリーズ②ゲストコメンテーターを公開しました

(October 26,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②も、ゲストコメンテーターをお招きして、しっかりとディスカッションをしていきたいと思います。どなたでも自由に参加できます。

どうぞふるってご参加ください。

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●東大、プリンストン大、ヴァージニア大学の合同レビューを開催しました。

(November 1,  2017 | KU

10月30日(月)に、東大とプリンストン大学、ヴァージニア大学の合同レビューを開催しました。午前中は学生同士のピア・トゥ・ピア・レビューにしっかり時間をとっていました。先生もその中に入って一緒にレビューをします。合同レビューならではの学生同士のコミュニケーションにもなり、とてもいいやり方だと思いました。
夕方からは、長谷川逸子ミニレクチャーとインタビューで、円陣を組んで楽しいディスカッションタイム。この日も道場スタイルは健在でした。

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●秋レクチャー②『地域資源を編む』第1回を開催しました。

(November 2,  2017 | KU

先週末10月28日に秋レクチャー②『地域資源を編む』第1回中島宏典さん「森林と町並み(都市)の間、過去と未来の間」を開催しました。台風の中お集まりいただいた皆様、ありがとうございました。レクチャーとディスカッション合わせて3時間に及ぶ濃厚な内容になりました。中島宏典さんからは、まず人口減少や経済力の衰退などが問題視されているが、少し時間を長くとって見れば、むしろこの100年が異常だったとも言える。この100年で失ってきたもの捨ててきたものはなんだったか、それをもう一度見直して結びつけていきたい。そのためにはこれまでの産業や社会のあり方を見直して、バラバラになってしまったものの「間」、「〇〇と△△」の「と」をやって行くことが大事だと思うという問題提起がありました。

 住民自身が動き出した時に初めていい循環ができて行った先斗町まちづくりを皮切りに、空き家率30%を超えると自治体が倒産するとも言われている空き家が抱える諸問題、その中で伝統的な建築がこの5年間で13%減するという危機的な状況、国家戦略特区の柱の一つに歴史的建造物活用を入れて建築基準法適用除外措置の運用を可能にした経緯、その先で起こった、伝統的建造物を修理できる棟梁や大工の人材不足問題などを一気呵成にご紹介いただきました。

 八女に残る200軒近い土蔵造りの街並みを40件以上改修し、53件もの新しいテナントさんを得たこと、改修の過程で技術のある職人さんの仕事場づくりや小学校の総合学習の時間を使った壁塗りや土間叩きワークショップなどを具体的な資金調達法も含めてお話いただきました。そして、市長が取り壊しを決めた「旧八女郡役所」(明治20年代に建設)という700㎡を超える大きな木造建築を、ほぼ民間の力で改修し、2017年春に酒店と絵本店としてオープンした経緯をお話しいただきました。

 伝統的建造物と町並みの改修をやって行く中で、八女の職人大工たちの人材、そして八女の木材をうまく活用できていない状況に気づき、街並みを作るということは、山、海、里山の循環を作ることだと。八女には良い森があり、製材する技術もあり、買い付けする場所もある。伝統建築を中心に地域資源の循環を作って行くことに重点を置いた活動をしているとのことでした。その一環として、アトリエわんの里山賃貸住宅の取り組み(8世帯、2LDK)では、木材をたくさん使う板倉工法を使って、移住者を一旦受け入れる魅力的な賃貸住宅を作る試みを最後にご紹介いただきました。

 ディスカッションでは、能作淳平さんから街のことや建築のことをなんでも行政に任せて来た反省やまちづくりをして行くときのアドホクラー的組織づくり、富永大毅さんから日本の林業が外材に押されて来た反省、木材流通の問題、連勇太郎さんから中島宏典さんがやっていることやノウハウを教育の中に入れていく必要性、川島範久さんから片付けや掃除が住民や所有者の意識を変えた話、最後に現役の学生さんから、国内留学制度、インターンシップがもっと今の教育に入っていたらいいのに、と伝統建築の保存まちづくりから始まって広い範囲のディスカッションになりました。

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●11月11日は連勇太郎さん「建築デザインの共有資源化」を開催します

(November 6,  2017 | KU

いよいよ今週末(11月11日)は連勇太郎さんのご登壇です。「建築デザインの共有資源化 ―オープンソース、タイポロジー、その生態系」。
連さんは7月に『モクチンメソッド』(学生出版社)を刊行されたばかり。これまでのモクチン企画のノウハウがぎゅっと詰まった一冊になっています。先週のディスカッションでも連さんは、伝建を出発点にした中島さんの活動はもっと言語化され、メソッドへ高められるべきではないかというご指摘をされていました。この『モクチンメソッド』は多くの人々に共有されるソースであろうとする狙いがあるようです。
http://book.gakugei-pub.co.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2650-4.htm

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●明日は連勇太郎さんのレクチャー「建築デザインの共有資源化―オープンソース、タイポロジー、その生態系」です。

(November 10,  2017 | KU

明日は連勇太郎さんのレクチャーです。「建築デザインの共有資源化―オープンソース、タイポロジー、その生態系」。先週の中島宏典さんのレクチャーでは、空き家率が30%を越えると自治体が破産するというお話をいただきました。東京の空き家率は10%台前半と言われていますが、それはあくまでも様々な条件を潜り抜けた空き家率。実態として十分利用されていない準空き家はもっともっとあるのかもしれせん。
都市の空き家や老朽アパート、十分に利用されていない資源をどのように揺り起こして資源として活性化するのか。モクチン企画のノウハウをご紹介いただきます。今回もレクチャー後にワンコイン懇親会を予定しております。どうぞ奮ってご参加ください。

*2回展示室では、モクチン企画の展覧会も開催しております。合わせてご覧ください。

●11/11ご参加の方へ マフラーのお忘れ物

(November 14,  2017 | KU

11/11ご参加の方へ
会場にマフラーのお忘れ物がありました。
暖かそうなマフラーです。お心当たりの方はメールをください。しばらく保管しておきます。
gallery.iha@ihasegawa.com

●秋レクチャー2『地域資源を編む』第2回連勇太郎さんのレクチャーを開催しました。

(November 17,  2017 | KU

秋レクチャー2『地域資源を編む』第2回、連勇太郎さんのレクチャー「建築デザインの共有資源化」を開催しました。

連さんのレクチャーは、シェアできる著作権「クリエイティブ・コモンズ」の提案者レッシグの言葉をひき、今何をリソースとして我々のコモンズを形成していくかが課題だというところから始まりました。30年で建築物が新陳代謝していき、いつも新しい建物で満たされている「東京」は山手線の内側にしかないこと、その周りを環状に取りまくモクチンベルトでは、23区内で20万戸という膨大な木造賃貸アパート、すなわちモクチンが借り手もなく放置されたり、手入れもされないまま社会的弱者のさいごの住まいになったりしながらだんだんに「腐っていっている」。この機能不全に陥っている膨大なモクチンをリソースとして、新しいコモンズを構築していくのが、モクチン企画のミッションなんだということでした。

モクチン企画では、現場のヒアリングや改修の実践を通して精選されてきた「レシピ」が44種類できているそうです。これは、モクチンが在来工法で作られており寸法体系やそこに使われている材料、技術に共通性があるために可能だということでした。特殊な作られ方をしているプレハブメーカーの住宅や軽量鉄骨のアパート(テッチン)、コンクリートのマンションでは「レシピ化」が難しいということでした。モクチン企画のもう一つの大きな活動が「パートナーズ」。地元密着型の不動産管理会社に向けた月額1000円の会員システムで、会員はモクチン企画のウェブサイトからさまざまな事例とレシピがダウンロードできる仕組み。町の不動産屋さんはオーナーの状況や改修工事をする工務店を熟知しており、実際に改修について主導権を持っている場合も多いそうです。その不動産屋さんたちにレシピを提供し、街のいろんな主体のデザインリテラシーが上がっていくと、総体として街そのものを魅力的にしているけるのではないかと。

7月に出版されたばかりのご著書『モクチンメソッド』はその集大成だそうです。レシピの最大の要件は「使ってもらえること」。借り手の希望、不動産屋の営業、オーナーの予算(改修は家賃1、2年分がひとつの目安)、工務店の技術など、地域の主体が「使える、使いたくなる」ものでなければならない。レシピは親しみやすく覚えやすいように「広がり建具」「チーム銀色」「くりぬき土間」「ホワイト大壁」「のっぺりフロア」「押入れ居室仕上げ」などユニークなネーミングがされています。これらのレシピはインテリアを居心地よくするものから、設備や耐震性能に関する技術的なもの、街との関係を作るエクステリアと広汎に渡ります。レクチャーではレシピを使った改修事例をご紹介いただきました。

今後の展開として、空きアパートを介護のできる互助ハウスにしていく計画があるそうです。圧倒的に余っている老朽アパートと圧倒的に不足している地域の中で共に生きる介護の空間をマッチングさせようというプロジェクトで、すでにエクステリアを街に開いていくレシピ「縁側デッキ」や「ポツ窓ルーバー」など、70−80万円くらいでできるレシピを提案中で、住まいのサポートと生活のサポートをセットを、福祉系の団体とスクラムを組んでつくっていきたいということでした。そのほかにも地域の中にある特性を生かしてNPOなど、社会的事業者のオフィスを木賃アパート改修で計画しているそうです。

こうしたモクチン企画の理論的な背景は、クリストファー・アレグザンダーの”A Pattern Language which Generates Multi-service Centers”(1968)だそうです。日本で広く知られている「パターン・ランゲージ」の一歩手前の段階で、特定のタイポロジーの建築物に対するパタンを提供するもので、これがWIKIなど現在の情報技術の分野で影響力を持っているのだそうです。この60年だいいパターンランゲージをどう現代の技術でアップデートできるかが、モクチン企画のチャレンジだということでした。

ディスカッションには、ゲストコメンテーターの青木弘司さん、能作文徳さん、川島範久さん、一ノ瀬彩さん、富永大毅さんたちにもお集まりいただき、キュレーターの金野さんの問題提起から、モクチン企画のチーム作り、モクチンアパートに関わっていったきっかけ、慶応SFCのカリキュラムの特色(連さんはソーシャルマーケティングと建築を重点的に学ばれたとか)、作家的な手法との違い、レシピ化できるものできないもの、モクチン企画と建築家で共有している部分と違う部分、かつて木賃アパートが「自由な都市生活を享受する希望の空間」であったこと、福祉分野との親和性と制度的な難しさ、防災という問題に対するキメの細かい対策の可能性、作家性の捉え方、と広汎な議論になり、全体で3時間を超える長丁場になりました。モクチン企画はミッションベースの集団であり、新しくオルタナティブを提案するのではなく既存のモクチンとその仕組みのチューニングをしているので、会場から質問が出たように、もしモクチンレシピが地域の主体に身体化されていけば、ミッションコンプリートで解散、それが理想なんですという連さんの最後の言葉が印象的でした。

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●モクチン企画の展覧会を開催しています。

(November 17,  2017 | KU

11月11日に開催した、連勇太郎勇太郎さんのレクチャー「建築デザインの共有資源化」にあわせて、モクチン企画の展覧会を開催しております。11月22日まで。
今回は全面リニュアールしたモクチン企画のウェブサイト、通常は有料会員しか見られないモクチン企画のノウハウがぎっしり詰まったレシピを特別公開しています。
レクチャーを聞き損なった方もぜひお運びください。(展示室写真提供:teco)

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●今週末25日(土)は飯田大輔さんのレクチャー「越境する福祉」です。

(November 22,  2017 | KU

今週末25日(土)は飯田大輔さんのレクチャー「越境する福祉」です。
飯田さんは、農業を学んでいた学生の時に社会福祉法人の設立から運営に関わり、その中で障害者の雇用問題に関心を持たれたそうです。その平均月給は1万円とても自立できるような収入には及ばず、なんとか10万円を支払える仕事を作りたいという思いで設立したのが「恋する豚研究所」だそうです。地域の産業と福祉をつなぐ飯田さんの活動をご紹介いただきます。ゲストは仲俊治さん。どうぞお楽しみに。

今回もレクチャー後にワンコイン懇親会を予定しております。どうぞ奮ってご参加ください。
*2階展示室では、2階展示室では、アトリエワン、ツバメアーキテクツ、t e c oの展覧会も開催しております。合わせてご覧ください。

飯田大輔さんインタビュー
http://i-hivechiba.com/rollmodel/model08

恋する豚研究所
https://www.koisurubuta.com/

●秋レクチャーシリーズ②第1、2回のCPD申請者名簿を提出しました。

(November 24,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』第1回「森林と町並み(都市)の間、過去と未来のの間」、第2回「建築デザインの共有資源化」のCPD申請者名簿を提出しました。

●秋レクチャー①藤原徹平キュレーション『これからの建築を考える』第1回、木村松本「構えと建築」レポート

(November 24,  2017 | KU

すっかり遅くなってしまいました。9月16日開催の、秋レクチャー①、藤原徹平さんキュレーション「これからの建築を考える」第1回、木村松本「構えと建築」のレポートです。

 最初に、木村吉成と松本さんから、プレゼンテーションをいただきました。2003年に事務所を作って大阪などで活動したのち京都に設計活動の拠点を移して5年、数百年という単位で新しいものと古いものが同居している街で設計していて、時間をすごく意識するようになった。身の回りのありきたりのものの「構え」として、木村さんの出身地和歌山のみかん山の石垣の美しい風景をご紹介いただきました。人々の共同作業で造成される生産と流通のためのシステムであり、みかんに光を供給するリフレクターでもあり、蓄熱もする、光も反射する。山の水の流れを阻害せず、動植物の生態系も作っているという「構え」である。続いて簡素な軸組と屋根だけの「たまねぎ小屋」。長い時間をかけてつくられてきた、環境に逆らわずに「いなす」しなやかさ、誰にでも作り方や使い方、直し方がすぐわかるようになっていることで獲得される永続性、生産地域における「構え」なのだというお話がありました。そして、都市の経済合理性に適合した「ガソリンスタンド」という「構え」。木村松本は、コンテクスチュアルな構造、単純でも多様性を生む構造をめざしているというイントロダクションをいただきました。

 続いて、京都上賀茂神社の近くのプロジェクト「ハウスA/ショップB」。住居兼店舗が混在する地域、変わっていくと思われる街のコンテクストを時間軸を含めて読み込んで、フレキシブルな増築や使い方を許容する構造を実現していく過程、店舗ではなく職人の作業場所を道路面に持ってきて、京都の町屋につながる光景を作る、働く姿が街を彩るプランについてご説明いただきました。そして京都大原の郊外、鯖街道沿いに建つ「ハウスT/サロンT」住戸兼ショップ。厳しい景観規制を逆手に取って、身舎部の架構に荷重を集め、1階下屋の外周部をサッシュだけで回しています。1階は、服飾デザイナーのクライアントの作業場でもありショップでもあり、子供たちの遊び場でもある開かれた空間で、クライアントは布で開口をコントロールしているそうです。各部はトイレの扉取っ手にビニールハウスのハンドルを使う、ワンサイズ大きい緊結金物を使って金属ブレースをかけるなど、クライアントが自分で直せそうな、自分でもできるという気持ちになれるような工夫を積み重ねているということでした。そして、現在進行中の名古屋のプロジェクトもご紹介いただきました。フィーレンディールトラスを正方形のヴォリュームの対角線に入れて背骨とし、道路側の半分の三角形を解放したショップ兼住居。最後に廃屋となったガソリンスタンドのコンクリート床の割れ目から伸びてくる植物の環境へのしなやかな応答の姿と、建築を使いこなしていくたくましさへの信用が設計する姿勢の根底にあるというお話をいただきました。

 ディスカッションでは、藤原徹平さん、ほか多くの方にご発言をいただきました。藤原徹平さんからは木村松本は時間を経て残る建築の強さを考えているんだな、永続性との関わりとして「構え」があるというところにすごく共感しました、という感想がありました。そして、「構え」としての建築とその外観の「表れ」の関係、環境と表れのがつながり方、地域性の捉え方、それぞれの地域における合理性、使う人の能動性、能動性を引き出す建築の不完全さ、使う人の意識に働きかけるディテール、ミニマルな構造、身体性のある構造、ガラス建築の開放性への疑問など、多岐にわたる議論になりました。

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●秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』no.3「越境する福祉」展は12/6まで

(December 2,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』no.3「越境する福祉」展(アトリエワン、ツバメアーキテクツ、t e c o)は来週水曜日まで開催しています。5日(火)は、あらかじめご連絡をいただければ、時間延長に対応します。

連絡先:03-3818-5460

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●秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』第3回飯田大輔「越境する福祉」レポート

(December 9,  2017 | KU

すっかり遅くなってしまいました。11月25日に開催した『地域資源を読む』第3回飯田大輔さん「越境する福祉」のレポートです。 社会福祉法人福祉楽団の理事長であり、株式会社恋する豚研究所の代表取締役でもある飯田大輔さんのお話は、母が設立準備をしていた社会福祉法人を、学生時代に経験なし知識なしのゼロから引き継いだ苦労話(シビアなお話ですが)を、面白おかしくご紹介いただくことから始まりました。レクチャーの間、会場に笑いがしばしば起きたのは、飯田さんのサービス精神のおかげでしょうか。

 「ケアを考え、くらしを良くし、福祉を変える」という理念の説明では、思考過程を大事にしたケア、施設でも地域で暮らしていても、その暮らしを今日よりは明日とちょっとずつよくすることを大事にしていると。そうした現場の実践を通じて、福祉の制度を変えていきたいということでした。

 福祉楽団の事業の一つの部門である「恋する豚研究所」は、発酵飼料作りから、子豚を採り育て出荷する一貫経営をしている(養豚所としては極めて珍しいとか)。また、水飴や大豆タンパクを混ぜない、混ぜ物なしのハム作りをしていると。そうした背景には、極めて細分化され産業化された日本養豚業の実態があり、混ぜ物の多い加工肉が多く出回っている販売の実態がある事、そのお話は衝撃的でした。偏った情報が多く、何が本物かわからない時代のなかで、消費者と生産者の間の情報の非対称性を是正する必要があるという事でした。

 成田に近い香取市にある「恋豚」(アトリエワン設計)は、福祉楽団のオフィスでもあり、1階はハム工場、2階が食堂。ハム工場は、就労継続支援A型という福祉事業。A型は最低賃金を保障するものですが、今の日本の障害のある方の月給は約1万5000円。そこで、10万円払える事業としてハムを作ることにした。10万円と障害者年金で、毎月16-7万円の収入があれば、自立が見えてくるから。あえて就労機会の少ない知的障害と精神障害を持つ人をメインに雇用している。2階は46席の食堂。しゃぶしゃぶが1280円が人気メニューで、年間客数約9万人。「恋豚」には、どこにも就労支援とは書かず、皆さんが障害者施設と知らないで、美味しいから楽しいからと来ている。そういう感じを大事にしているということでした。

 建築はもちろん、パッケージデザインも大事にしている。ケアは科学が半分、クリエイティビティが半分だ(思考過程だから)という考え方で、それはクリエイティブな空間で行われるべき。デザインが重要性なのは、意味が変換されること、自分たちで気が付いていない価値が掘り起こされる、潜在的な価値をデザインによって引き出していくことにあると。パッケージデザイン一つを取っても自分たちで該当ヒアリングをしながら決めていったそうです。

 「多古新町ハウス」(ツバメアーキテクツ設計)は小規模ながら多機能な福祉拠点で、児童デイサービス、放課後デイサービス、高齢者と障害者の通所、配食、訪問介護、トイレ、お風呂、宿泊、そして無料の学習支援をする「寺子屋」がある。多機能であるため、近所の農業高校、その野球部、高齢の車椅子利用者、近所の人、障害のある子供、寺子屋の子供、障害のある子供、普通の子供、職員といった多様な人たちが入り混じってここにいるという珍しい光景をビデオで見せていただきました。

 「地域ケア吉川」(teco設計)は、URの団地のシャッター商店街を改修した訪問介護の事務所。その半分を誰でも訪れられる場所にし、共同で使えるキッチン兼食堂にしたところ、ご飯を亜食べに来る子供達、お料理をするお母さんたち、食材を差し入れる農家の人たちなどが、多い日だと5-60人くらい集まって来る。それを見た行政が、その隣の空き店舗に子育て支援センターを持って来ることになった。自治会もカフェを開く。シャッター商店街に人が集まるようになった。これが訪問介護の事務所ひとつでできる。全国にある介護のニーズを見れば、その可能性は大きい。

 「八潮市特別養護老人ホーム」110床の大規模な特養に作った保育所(ツバメアーキテクツ設計)。職員のための託児所を、企業主導型保育所として新設するとともに、敷地の中を通り抜けられるように、フェンスをとって、正面入口にバスケットボールコートをつけた。職員対地域の子供達のバスケットボール大会を開催したりしている。その子達や周りの人たちも出入りするし、特養の「ご飯の日」には地域の人たち30-50人くらい集まって、入居者や職員と一緒に食事をしているそうです。

 「栗源第一薪炭供給所1K」は農業と林業と福祉をセットでやるもの。自伐型林業で薪を作り、薪ボイラーで使う。すると、近隣の温浴施設では1200万円かかっている灯油が、薪400万円で賄える。その800万円で新しい雇用を生み出すこともできる。薪ができるまでの作業を分解して「里山資源化作業分解」という作業マニュアルを作り、障害のある人や年寄り、認知症の人もできる作業を抽出する。できる作業を抽出している。物理的なバリアフリーよりも数段難しい認識のバリアを突破するためには作業マニュアルによる構造化が有効だということでした。

 最後に、ケアの科学とクリエイティビティ、ローカルな時代における社会的共通資本、地域でちゃんと循環するコミュニティ経済の仕組みづくり、「施設」「福祉事業」といった概念にとらわれないこと、補助金に頼らない経営、人を大事にする経営、信頼をベースにした軽快な活動という7つのポイントをご提示いただきました。

 ディスカッションでは、建築家=遊牧民と、地域に根ざした活動をし、ネットワークを持ち、地域の資源に精通している福祉事業者との連携が持つ可能性、ケアファームの可能性、飯田さんの建築発注者としてのこだわり(清潔さや断熱性能など機能的な要素)など、地域との関係の作り方、都市でも同じように関係を作ることは可能か、地域における新しい公共のあり方、ケアの民主主義、新しいコモンズを築くために乗り越えなければならない歴史、構造化されていることの重要性とされていないことの快適さ、多様性を大事にするデザイン、福祉事業者自身が改善していかなければならない体質、建築家の主体性と職能など、多岐にわたる話題となりました。ゲストコメンテーターの仲俊治さん、ツバメアーキテクツの山道さんと千葉さん、川島範久さん、福祉施設や保育所の建設に携わっている設計者の方、社会福祉法人を経営されている馬場拓也さん、学生さんたちなど多くの方から活発な議論をいただきました。

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●中嶋健造+富永大毅展、来週水曜日までです

(December 16,  2017 | KU

秋レクチャーシリーズ②『地域資源を編む』最終回の展示がいよいよ来週、20日水曜日までとなりました。また、19日火曜日は、事前にご連絡をいただければ時間延長に対応いたします。どうぞお運びください。

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●ペーパークラフト作家松田祐樹さんの2018年カレンダーが届きました

(December 16,  2017 | KU

gallery IHAで個展を開催されたペーパークラフト作家の松田祐樹さんの新しいカレンダーが届きました。展覧会をご覧になったかたは、繊細で豊かな動物たちの表情を覚えているのではないかと思います。画像は2017年12月のために作られた孔雀(2018カレンダーに入っています)です。
ご注文とお問い合わせは以下だそうです。

calendar1_calendar2@yahoo.co.jp

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●松下礼子・絞布展開催のお知らせ 2018年1月20日(土)から27日(土)まで

(December 19,  2017 | KU

以下に作家の松下さんからお送りいただいた紹介文を掲載します。4mに及ぶ大作も展示していただきます。藍染にご興味のある方、絞に興味のある方、是非いらしてください。

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2018年1月20日(土)から27日(土)まで

galleryIHAにて

松下礼子・絞布展を開催いたします。

デザインを学んだものの工芸の道に入り、以来広巾の布を絞り藍で染めてきました。

藍染は藍の液に布を入れ出して空気にさらすことで青く発色します。

1回2回3回と染める回数を重ねて淡い青から濃紺へと染めていくことができます。

そのグラデーションの美しさはいつも私達の目を奪い魅了します。

藍染を続けるうちに私はこのグラデーションで立体感を表現できるのではと考えました。

もともと構造物や自然のダイナミックな形態に惹かれるところが多く、

その力強さを表したいとの思いから一連の作品が出来ました。

このギャラリーの吹き抜けの清々しい空間に布を渡すというまたとない機会に

ワクワクしております。

寒い時季で恐縮ですがどうぞお立ち寄り下さい。

 

松下礼子 

1983 国展初入選

新人賞.国画賞.準会員優作賞受賞

2007 国画会会員

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松下さんはこれまで、国展などに作品を発表されてきました。上から順に代表的な作品をご紹介いたします。

国展80回(2006)南アルプスの山々に朝日があたり夜が開けていく様子

同81回(2007)水が滔々と流れる様子

同82回(2008)宮澤賢治の詩の言葉の一節より

同87回(2013)ドイツのkraftworkからのインスピレーション
撮影/堤剛

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●2017秋レクチャー②『地域資源を編む』最終回、中嶋健造+富永大毅「イラっとする日本の木材資源活用」(12月7日開催)レポート

(December 20,  2017 | KU

土佐の森救援隊、自伐型林業推進協会の理事である中嶋健造さんは、故郷の高知で農山村再生に取り組む中で「国土の7割を占める大量の森林資源が活用されていないこと」に気づいたことから今の活動を始めたということでした。「土佐の森救援隊」に参加(2003)し、「林業は実は儲かる」ことに気づいた。林業は森林組合の専門家にしかできないと思い込んでいたが、1年ちょっとで自分で全ての作業を行ない原木市場に出荷するところまでできるようになった。そして土日林業家、100haの山で悠々と家族を養っている徳島の林業家らとの出会いがあり、地域を再生するには「自伐型林業」しかないと確信するようになった。

 現在の森林組合が推進しているのは、大規模施業の皆伐。大きな高性能林業機械を入れる列状間伐(という名の皆伐)である。生産性が良くても、選木もしないので材の質が低い。大きな機械を上から入れるから、道は太くなり、切る量も大きくなる。そういう施業をした山はボロボロになる。平成16年に紀伊半島豪雨がきた時、森林組合が列状間伐をした森でバタバタ木が倒れた。一方で、自伐林家の森林は同じ台風でもビクともしない。森林の質がはるかに高い。

 日本は資源がないないと言っているが、世界に誇る森林資源がある。日本は温帯地域で四季があり、大量の雨が降るため、樹木の成長が良く、樹種も豊富。針葉樹として杉、檜、建築用としては檜は世界一。さらに広葉樹は、欅、水楢、栗が揃う。欅は大黒柱に使える木、水楢は家具材の王様、栗は腐らない。こんなに樹種が揃っているのは日本だけ、質量ともに世界一の森林資源をもっている。にもかかわらず今の林業GDPはわずか2000億、日本のGDPの0.1%以下。投資される補助金は3000億と生産額より大きいのが実態。

 山林所有者や管理者は自分で作業をしない。全部、森林組合に委託している。昔の地主と小作人のようなもの。施業委託型林業は、所有と経営、施業が分離されているので持続的森林経営に責任をもたない。そこにある木を全部切ってしまう。今の森林組合がやっているのは伐採業にほかならない。森林組合の40-50年の樹木の大量伐採ではA材を生産できない。合板集成材用のB、C、D材の生産しかできない。大量生産した質の悪い木を、大規模製材所、大手住宅メーカーが合板集成材として大量消費する。合板集成材はCO2固定もしないから環境面のメリットもない。

 日本の木材の特徴は、A材、超A材用の原木があること。A材が6割、B材が2割、CD材が2割。B材は合板集成材の原木になる。それでいけば合板集成材は日本の木では2割がマックス。今は木材需要の95%が合板集成材なので、どうしても輸入材が多くなる。CD材はエネルギー用で、これも本来2割まで。日本のA材は世界の高級木材市場を作るだけのポテンシャルがある、これを活用しない手はない。結局、日本の林業が衰退して来た原因は、所有と経営の分離、50年皆伐、高性能林業機械の導入、合板集成材一辺倒の使い方にある。

 山林所有者や地域住民が主体の自伐型林業は、経営、管理、施業を自ら行う自立自営の持続的な生業である。限られた森林の管理をして長期的な多間伐施業で毎年収入を得る。品質重視の多品目生産、森林の多目的活用ができる。樹木は成長するので、うまく経営をすれば生産しながら在庫が増えていく。一人30ha確保できたら何世代でも経営できる。補助金も最初の道を入れる時だけで、あとは完全自立できる。持続可能な森林経営と環境共生型の林業という二つの条件を実現できるのは自伐型林業だけである。

 新しく自伐型林業を始めた若者たちはみんな年収700万円以上。紀伊半島豪雨で自伐林家の山が崩れなかったのは作業道の作り方による。自伐型林業の作業道は予防的砂防工、山腹工、小規模アンカーなどの役目をする。それで土砂災害を防いでくれる。無垢材流通のある地域では、いい材は、合板集成材だけになった森の10倍以上で売れる。自伐型林業で良好な森を作り、質の高い木材を作り、100万人の雇用を創出することができる。

 

 続いて富永大毅さんから、中嶋さんとの出会いの衝撃、吉野の森で樹齢200年の森林に流れる時間に圧倒された経験から、生活のために資源を求めるのではなく、資源があって生活が成り立つという価値観の逆転があったというイントロダクション。林業先進国と言われるスウェーデンやオーストリアでは樹木の成長量と生産料の比率が90%近い。しかし日本はわずか20%台で、全然森を使えていない。なぜ国産材が売れなかったのか。ひとつは「銘木」という言葉を作って、造作材の分野に逃げ、構造材としての質や安定供給において、外材との競争を避けてきたこと。もうひとつは高度成長期に「部切れ」「空気売り」など品質偽装を繰り返したこと。しかし、今は森林も成長し、製材所も淘汰され品質の問題はなくなってきた。今残っている問題は流通、安定供給できる情報の提供、なるべく短い流通経路で輸送コストを削減することがポイントになる。

 建築家は残念ながらマーケットが小さい。極小マーケットの建築家が大規模流通と同じ流通経路を使って勝てるわけがない。製材所とユーザーがダイレクトにつながることからプロジェクトをスタートした。「垂木の家」では、流通から考え直す無垢材利用の実践をした。マンション改修を、富永さん自身があきる野の沖倉製材所に直接行って発注することで、流通を短くする。次に製材工程を調べ、豊富にある材を用いる。具体的には45mm厚でストックされている良い材を使うことにした。「材料があってデザインが決まる」という逆転。職人がいないので、木材を積み上げて長いボルトで締め、接着剤を一切使わないプリミティブな作り方にした。

 埼玉県の「垂木の家2」では、西川材の製材所、岡部材木店に豊富にあるサワラを使うことにした。比べて気がついたのは、山の状況が各地で違い、それぞれにできることが変わるということ。毎回、製材所に訪ねて行ってどんな材があるのかというところからはじまる。「銘木」という言葉がなくなってしまった後の無垢材利用を考えていかなければいけないと思っている。そのとき、「木に無理をさせない」ことがポイントになると思う。すごく無理をさせるとCLTの集成材になる。逆にログハウスや垂木の家は無理が少ない。今、住宅供給材プレカット材で、大スパン、中規模木造を作るとか、板倉工法が盛り上がっている。大事なのは建築家が地域ごとに良い製材所とその特徴を共有していくことではないか。建築家が、地域に根ざした材を使えるようになって、そのさきに、持続可能な社会と山のためのデザインを見つけていく必要があるというご提案をいただきました。

 

 後半のディスカッションでは、中嶋さん、富永さん、川島範久さん、岡部知子さん(岡部材木店)、林業家、「新建築」誌上で「CLTの12断面」を連載している小見山陽介さん、中村謙太郎さん、塚本由晴さんらが、会場からの質疑を含め、活発な議論をしました。農地改革ならぬ林地改革ができなかった失敗、専業農家をモデルにした農業政策の難しさ、県が完全に主導権を握っている静岡県、直流通をやって失敗した群馬県、震災復興を進める牡鹿半島の細分化された林地の抱える問題などといった各地の抱える具体的な林業の問題、原木市場の可能性、吉野の森を作り上げた土倉庄三郎、吉野林業のつまづき、大工の問題、木材価格の謎、無垢材を使った家の快適さ、建築を目指す若い世代が本当の木の家に住んだ経験を持たない問題、ヒノキの香りを知らない学生、産業化された建築材に慣れ自然材の特色を生かした設計や住み方ができないという問題、慣習的な木材の利用にとらわれない新しい発想の必要、CLT材が日本の林業を潰すのではないかという疑問、など多岐にわたる議論となりました。

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