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長谷川逸子の喜寿を祝う会を開催しました

長谷川逸子の喜寿を祝う会

先週は長谷川逸子の喜寿を祝うOBOG会が開催されました。とはいえ、どうしても話題はロイヤルアカデミー建築賞のお祝いに。なんといっても、日本でいえば芸術院賞、それも日本芸術院のそのまた大元のイギリスの芸術院からの第1回受賞です。イギリスと長谷川の関係は深く、その詳細を今村創平さんが書いてくれました。

来年は長谷川逸子のテキストを集めた本が出ます。どうぞお楽しみに。

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Today we had a party for celebrating Itsuko Hasegawa ‘s winning the first Royal Academy Architecture Prize and her 77 years old birthday. 本日、長谷川逸子さんの、ロイヤル・アカデミー・アーキテクチュア・プライズの受賞と喜寿をお祝いするパーティーが開かれ、50名近くの長谷川逸子建築計画工房のOBOGが集まりました(本日12月1日は、長谷川逸子さんの誕生日です)。このような素晴らしい建築家のもとで20代を過ごせたことに、感謝の念を新たにしました。以下、私のお祝いの言葉です(多くのスピーチがあったのですが、写真はその一部です)。

長谷川さん、本日は、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのアーキテクチュア・アワーズ受賞と、喜寿のお祝いということで、誠におめでとうございます。 私は、話をするのが苦手ではないのですが、無駄に長くなる傾向があるので、今日は原稿を読ませていただきます。 私は、1993年に長谷川さんの事務所に入所させていただきました。その年の長谷川アトリエは、新潟市民文化会館のコンペに勝ち、隅田生涯学習センターや、山梨フルーツミュージアムが現場で実現の時を待っているという状況で、とても活気に満ちていました。 同年、私は、カーディフ・ベイ・オペラハウスのコンペチームに入れていただきました。このコンペは惜しくも2位に終わりましたが、その後も長谷川さんは、同じくカーディフのウェールズ州議事堂、ロンドンサウスバンクセンター、ロンドン塔ヴィジターセンターと、次々とイギリスの国際コンペに招待をされました。今から振り返ると、いずれもイギリスにおける重要な施設ばかりであり、当時、長谷川さんがどれほどこの国から期待されていたかが窺われます。残念ながら、どのプロジェクトも実現にはいたりませんでしたが、今回の受賞の知らせは、四半世紀越しの英国からのラブコールではないでしょうか。また、長谷川さんも、ご友人のサー・ピーター・クック氏がおられるなどイギリスという国に好印象を持たれて来たでしょうから、今回の受賞は、格別なものではないかと思います。

 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツというのは、ロンドンの中心部のピカデリー・サーカスのすぐ西側に位置し、南に向かって10分ほど歩くとバッキンガム宮殿という、ロンドンでも中枢といえる場所にあります。ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、英国王立美術院は、1,768年の国王ジョージ3世による認証を起源とする、イギリスにおける最も権威と伝統を誇る芸術機関です。今年は創立250年目の節目にあたり、新しく建築の賞が設けられました。「ロイヤル・アカデミーは、世界的な建築の擁護者としての自らの役割を示し高めるために、国際的建築賞を創設した(The RA has launched two new international architecture awards that demonstrate and heighten the RA’s role as a global champion of architecture.)」。かように、今回のアーキテクチュア・アワードは、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツやイギリスの芸術界において格別な重みをもつ賞といえます。長谷川さんは、その第一回目の受賞者となりました。 当然ながらあらゆる賞において、最初の受賞者というのは特別な意味をもちます。賞を出す側からすれば、その賞の今後の位置づけや重要性をかなりのところ決めてしまうからです。今回の選考においては、並みならぬ慎重な審査がなされたはずです。 ちなみに、今日最も権威のある世界的な建築賞といえば、プリツカー賞ですが、約40年前の初回の受賞者は誰だったか、みなさんご存知でしょうか。フィリップ・ジョンソンです。フィリップ・ジョンソンは、ポストモダン以降その評判を落としたところがありますが、当時の世界の建築界において、もっとも存在感のある建築家であったと言って過言ではありません。

 一方で、今回の受賞に際して審査員長のルイーザ・ハットンさんは、長谷川さんが建築の設計を通じて果たしてきたことがその重要性に見合うだけ十分には世界に知られていないことを受賞理由に挙げています。「長谷川逸子さんの建築について、私たちが最も興味を惹かれるのは、革新の精神です。このたびの受賞を通じて、その業績からして受けてしかるべき彼女への認識が、さらに高まることを祈っています。(‘What I find most interesting about the architecture of Itsuko Hasegawa is the spirit of invention. Through this prize we hope to bring her the much-needed recognition she deserves.’ Louisa Hutton RA, chair of the jury)」ここには、賞というものが、すでに定まった評価の追認ではなく、本来的に受賞に相応しい人に与えられるべきであるという、審査員の自負が認められます。 また審査員の一人、ハーバード大学グラジュエート・スクール・オブ・デザインのディーンであるモーセン・モスタファヴィ氏は「長谷川逸子は、第二次世界大戦以降の日本人建築家で最も重要な一人」だと評し、同じく審査員のリチャード・ロジャースは、「建築とは、まさにパブリック・スペースとしての建築やパブリック・スペースの自由さが重要であり、彼女はそれらをともに素晴らしい方法で手掛けている」と述べています(https://www.youtube.com/watch…)。 長谷川さん、このたびのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのアーキテクチュア・アワーズ受賞、本当におめでとうございます。

今村創平

2018.12.1

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